鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2020シーズン査定(DB編)

NFL Filmsが作ったKuechlyのハイライト的な動画を見ていると、やっぱりD#サイドにこういうスーパースターが欲しくなる。フィジカルに優れているだけでなく、頭脳面でもチームをけん引していける寡黙な男。素敵です。
ただし、こういう男はすべてにバランスが取れているので必然選手生活は短くなる。引退して2年経つ2021のCARにおけるKuechly分のデッドマネーは7M超だとか。

本題は、スター選手を獲って欲しくて、それが実現したものの期待とは全然違う仕上がりになったこのユニット。

 

【2020開幕前】
Stay
:Avonte Maddox(18/4)・Rodney McLeod(16/UFA/LAR)・Jalen Mills(16/7)・Cre'von LeBlanc(17/W/Det)・Marcus Epps(19/W/MIN)・Rudy Ford(19/T/ARI)・Craig James(19/Street FA)・Blake Countess(19/ Street FA)
OUT:Malcolm Jenkins(⇒NO)・Ronald Darby(⇒WAS)・Sidney Jones(⇒JAX)・Rasul Douglas(⇒CAR)
IN:Darius Slay(20/T/DET)・Nickell Robey-Coleman(20/UFA/LAR)・K'Von Wallace(20/4)・Trevor Williams(20/Street FA)・Michael Jacquet(20/UDFA)・Grayland Arnold(20/UDFA)・Kevon Seymour(20/Street FA)・Will Parks(20/UFA/DEN⇒のちにカット、DEN出戻り)・Jameson Houston(20/Street FA)・Elijah Riley(20/UDFA)

確かこれぐらい。DBの出入りはなぜこんな頻繁なのか。


2019D#は結構酷く、パスD#でNFL19位という出来映え。なによりスタッツには表れない勝負所でのやられ方とかになかなか悲惨なものがあった。
2017ドラフトにおいて大ケガ中にも関わらず2巡の投資をしたSidney Jonesもものにならず。とにかくなぜか投資はしているのにリターンがないCB陣にテコ入れを図るべくDETと契約延長で揉めていたDarius Slayをトレードで獲得。その後当時CB最高値(年平均16M程度)で3年の契約を延長。当時29歳。Slayに代償で出した3巡85位はその後INDに渡ってS Julian Blackmonに代わってた。なかなかのご活躍をされたと聞いている。

そしてMalcolm Jenkins。2018オフから契約延長について揉めていたが、Jenkinsが折れる形で2019もSTも含めてフルスナップ出場。ロッカールームリーダー兼地域のロールモデルとして大車輪の活躍。その後迎えた2019オフ、フロントと決裂してチームが7.85Mのオプションを放棄する形でリリース。高かったのかな?と思ったら、その後古巣NOと4年32M(単年8M)で契約。いやいや。高くないですやんなにそれ。
その後、Jenkinsは「金額じゃなかった。リスペクトが欲しかったんだよ。それにPHIのフロントは一切答えてくれなかったね。」とのコメント。当時32歳の男に対して長期契約を結ぶことに抵抗はあったのだろうし、そのリスクは十分に理解できるが、残留を熱望している男に対してならフロントロードな契約のやり方もあったろうに。そしてこの男の貢献度合いからするとそれぐらいのリスクは飲んでしかるべきではなかったか。またしてもRoseman。

Malcolmで空いたSSの席にはCBからMillsを移すことに。契約切れだったMillsと1年契約を結んでSSにコンバート。CBとしてはスピードが足りないもののタックルはまあまあできると思っていたMillsならSSは割といけると思ったのが実態。そもそもMalcolmにも2019にはカバーミスがあったりちょっと守備範囲狭くなった気配もあったりで、リーダーとしての素養はうかがい知れないが、その点以外はそんなにマイナスがないと思っていた。

そしてドラフトではClemsonからK’Von Wallaceを指名。守備範囲は狭いがタックルは堅実な完全にMillsと同タイプ。PHIの4巡と言えば未だかつて一人も当たりがいない呪われたポジションであったのが何とかモノになってほしいという気持ち。

その他、“NCBとしてリーグ最高”という触れ込みでLARからUFAで市場に出てきたNickell Robey-Caleman(以降NRC)を確保。そして2017の2巡のJonesと3巡のDouglasをファイナルカットだったかで放出。ほんにドラフトが下手。
ということで2020の陣容は以下の通り確定。
CB1:Slay/Trevor Williams
CB2:Maddox/NRC
NCB:NRC/Cre'von LeBlanc
FS:McLeod/Marcus Epps
SS:Mills/Wallace

 

【2020成績】
<Corner Backs>
Darius Slay

15試合(先発14試合)59タックル(53ソロ)2TFL 1INT 6PD/90回 69rec(76.7%)851yds 3TD QBレーティング111.9/ミスタックル5(7.8%)
Avonte Maddox
10試合(先発8試合)40タックル(36ソロ)1TFL 0INT 3PD/49回 33rec(67.3%)429yds 2TD QBレーティング108.3/ミスタックル3(7.0%)
Nickell Robey-Coleman
15試合(先発7試合)44タックル(37ソロ)2TFL 0INT 1PD/52回 41rec(78.8%)490yds 3TD QBレーティング125.2/ミスタックル10(18.5%
Michael Jacquet
7試合(先発2試合)18タックル(12ソロ)0TFL 0INT 3PD 1Sack 1FF/28回 20rec(71.4%)380yds 2TD QBレーティング137.5/ミスタックル1(5.3%)
Cre’von LeBlanc
9試合(先発1試合)22タックル(19ソロ)1TFL 0INT 2PD 1FF 1FR/32回 25rec(78.1%)243yds 1TD QBレーティング108.7/ミスタックル5(18.5%
Craig James
4試合(先発0試合)2タックル(2ソロ)0TFL 0FF 1FR/1回 1rec(100.0%)2yds 0TD QBレーティング79.2/ミスタックル0(0.0%)
Kevon Seymour
2試合(先発0試合)8タックル(6ソロ)0TFL 0INT 0PD/4回 3rec(75.0%)79yds 1TD QBレーティング156.2/ミスタックル0(0.0%)
Trevor Williams
2試合(先発0試合)3タックル(2ソロ)0TFL 0INT 1PD/4回 1rec(25.0%)15yds 1TD QBレーティング82.3/ミスタックル0(0%)
Blake Countess
2試合(先発0試合)3タックル(3ソロ)0TFL/2回 2rec(100.0%)25yds 0TD QBレーティング118.7/ミスタックル0(0%)

(スタッツはPFRより)
サンプルが少ないながら比較的優秀なスタッツを残していたTrevor Williamsをシーズン中にカットした意味がわからない。
Slayに期待していたのは、シングルカバーでエースWRをシャットダウンするアイランド系CB。全盛期Darrelle Revisまではいかないにしても、それに近い働きを期待しなければCB界最高峰の金額を払うわけがない。
そしてその仕上がりが上記。被スタッツをご覧いただきたい。これ、エースWRの数字である。少なくともPHIのWRでこの数字を残せてはいない。つまり、「エースWRにマッチアップしたけれども、相手OffenseがエースWRに期待する数字以上でも以下でもないものを残された=相手のゲームプランを一切変えられなかった」ということ。なんじゃそれ。そんなやつに年16M強は払い過ぎ。
Slayより3歳ほど若くてCARからFAで3年45MでNYGに行ったJames Bradberryはプロボウルのご活躍だったと聞き及んでいる。

一つSlayを擁護するなら、あのスタッツの大半は
10/13(76.9%)168yds 0TDのweek12 SEAのDK Metcalf
8/9(88.9%)121yds 2TDのweek13 GBのDavante Adamsの2連戦で稼がれたもの。後者についてはレーティング満点のやられ方。
シーズン前半はSlayが効いているな、というシーンも散見された。
にしても結局相手QBの成功率が50%を下回る試合はシーズンを通して1回もなかった。もちろんある程度避けられたところはあったのだろうが、貫禄みたいなものは感じなかった。まごうことなき失敗補強である。

CB全体でいうと、結局試合に出たCBの大半がシーズントータルでレーティング100を超えるやられ方となった。

Slayにエースを押し付けておいてその反対サイドでのMaddoxNRCのやられ方はやっぱり許せない。MaddoxはさておきNRCで許せないのはレーティングに加えてミスタックルの多さ。この多さ。小さくて腕が短いからかスティフアーム一発で吹っ飛ぶシーンが多すぎる。そしてなによりパシュートが下手すぎる。非常にストレスが溜まる出来であった。
Maddoxはやっぱり小さい。大外の屈強なWRをマンカバーするのは無理。

しかしここまでのスタッツが残ると、Slay以外は全部DC Schwartzの責任だと思う。Slay1枚の補強だけであまりにもマンツーマンカバーが多い。できないやつが多いのに。途中Slay(に加えてMaddoxとMcLeod)が離脱したweek15は見た感じゾーンカバーが増えた気がする。その試合は406yds3TD1INTのやられ方であったが、CB陣が前を向いてプレーできるシーンが増えたからか1INTに加えて2ファンブルの計3ターンオーバー。こういうD#でよかったのではないかと。これをSlayで見たかったというところはある。

 

<Safeties>
Jalen Mills

15試合(先発15試合)74タックル(59ソロ)4TFL 1INT 3PD 1FF 0FR/59回 34rec(57.6%)391yds 2TD QBレーティング82.0/ミスタックル9(10.8%)
Rodney McLeod
13試合(先発13試合)66タックル(43ソロ)3TFL 1INT 7PD 0FF 2FR/29回 14rec(48.3%)117yds 1TD QBレーティング56.2/ミスタックル6(8.3%)
Marcus Epps
14試合(先発5試合)47タックル(35ソロ)0TFL 2INT 4PD/21回 17rec(81.0%)152yds 0TD QBレーティング72.7/ミスタックル5(9.6%)
K’Von Wallace
15試合(先発3試合)21タックル(15ソロ)0TFL 0FF 1FR/9回 6rec(66.7%)53yds 0TD QBレーティング82.2/ミスタックル2(8.7%)
Will Parks
6試合(先発3試合)13タックル(11ソロ)2TFL/9回 5rec(55.5%)26yds 0TD QBレーティング60.4/ミスタックル3(18.8%)
Rudy Ford
8試合(先発1試合)15タックル(13ソロ)1TFL/6回 3rec(50.0%)27yds 0TD QBレーティング62.5/ミスタックル1(6.3%)
Grayland Arnold
6試合(先発1試合)11タックル(6ソロ)1TFL 1PD/4回 3rec(75.0%)15yds 1TD QBレーティング119.8/ミスタックル4(26.7%

スキーム的にCBに負担が多かったことはあったでしょうが、こちらのほうの成績は良かったと言いたい。

McLeodの成績は見事。CBに負荷が寄った分、Sとしては比較的やりやすかったであろうが、それにしてもこのQBレーティングは素敵。昨年の被レーティングが81.6だったことと比べると56.2は成長の爪痕が見える。Malcolmがいなくなったあと、DBというかD#全体のリーダーシップを担おうとしていることもあった。だからこそweek14のACL断裂は非常に残念。2021の開幕は間に合わないかもしれないし、その時には31歳。契約は2021までだが果たしてどうなるか。

SへのコンバートになったMillsもケガの懸念はあったが、Covidリザーブに入って出場できなかった最終週以外全試合先発はよくできました。そしてスタッツ的にも見事。印象としてはミスタックルがちょいちょいあった気もするが、スタッツ的にはそれほどでもなかった。欲を言うと、もう少しタックル数を増やしていただきたいところ。Box内への絡み方はもう少し成長してほしいです。

Wallaceはそんなに悪くなかったがあまり印象に残らなかった。Millsの契約がどうなるかわからないなか、2021にはますます成長した姿を見せていただきたい。リーダーシップ要素も兼ね備えている様子でこの地獄のようなチームにおいて若手の成長はまぶしいので今後も期待しております。

McLeodの不在を埋めたのがEpps。あまり注視していなかったので印象にも残っていないけれどもスタッツ的にもやはり足りないところ。2021は出番増えるでしょうからしっかりしていただきたい。

 

【2021への願望とか】
UFAが以下の4名。
CB:NRC・LeBlanc
S:Mills・Ford
CB陣はNCBの二人がUFA
上述の4人が市場で高騰するとは思えないので、安くなるのであれば確保でもいいかな、と思いながら、だけれどもやはりNRCは要らない。LeBlancは値段次第。

DCがGannonに代わることによって、スキームとしてはCov.2がメインになりそうな情勢。
それを考えると、Millsはもうちょっと活きるかもしれないので確保してほしいところ。
だけれどもキャップ情勢的にそれを許されるのか。

現在支配下にいるのが、
CB:Slay・Maddox・Jacquet・James・Shakial Taylor・Seymour(PS)・Lavert Hill(PS)・Houston(PS)
S:McLeod・Wallace・Epps・Arnold・Elijah Riley・Countess(PS)
残念ながら失敗補強となったSlayだが、その将来は不安定。
2021は15.75Mのキャップヒットになるが、6月1日までのトレードであれば6Mのセーブ(9.75Mのデッド)。というわけで予想はトレード。3月17日のFA市場開場までに何等かの情報が入るのではないかと思っているところ。

というわけで2021の陣容予想は以下の通り。
CB1:FA(Xavier Rhodesが第一希望だけどお値段次第)
CB2:ドラフト(2巡ぐらい)
NCB:Maddox
FS:McLeod(完治まではEppsとか)
SS:Wallace
非常に弱い。というかCBの2枠がばっこり空いてる。度重なるドラフト失敗のツケでしかない。こんなもんでDALの凶悪WR陣と戦えるのだろうか。
不安しかないのでGannon先生におかれましては、是非ともスキームの妙を存分に見せていただきたいと存じます。