鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

2021 Week16 vsNYG感想と暮れのご挨拶

DALよ。WASに勝つところまではいいけど全米放送で56-14はやりすぎ。来週はWASが火の玉になって襲い掛かってくること必定ではないか。何事にも程度というものがあるのでわきまえてください。

本題はNYG戦。いやあ酷かった。WAS戦というかWeek12の焼き直しかと思ってしまうほど低調な立ち上がり。前半は全く見る価値無し。その後ビッグプレー連発で勝負を決めた3Qだけが見る価値のあるQuarterでした。

Week12との違いという点ではDefenseとKickingがしっかりビッグプレーを叩き出してOffenseの立ち直りを援護したところ。そういう意味ではチームとしての一体感は見受けられたし、もしかしたら強いチームなのでは、という期待も消えない試合ではありました。

しかしPatrick GrahamというNYGのDCにはどこかAFCのチームでさっさとHCになっていただくという案はどうだろう。早く出ていってください。

 

結果PHI 34-10 NYG

手放しで喜べないのはやはり試合開始直後のOffenseの低調さ。Week3のDAL戦のデジャヴかと思った。ああいうことをしていると強いチーム相手ではそのままモメンタムを持っていかれてキャッチアップOffense→うまくいかない→Defenseが疲弊→さらなるキャッチアップOffenseという悪循環に陥りかねないという懸念があるから。
バウンスバックできたのは良いとしても、試合の入りのところはやはりもうちょっと考え直していただきたいところ。

 

■展開の振り返り
・先週の出来が良かったもんだから褒めちゃったら試合開始のキックオフリターンでいきなりGainwellが大ファンブル。近くにいたJJAWがリカバーしてなかったらあの試合はどうなっていたのだろうか。JJAWはさすがの元2巡指名。ボールへの嗅覚というか運というかが素敵。STerだけど。いいね。
そしてその後は見どころなし。記憶もない。前半終了。(3-3

・後半立ち上がりから試合は動く動く。Defenseで始まった2プレー目。LB Genard Averyのナイスプレッシャーを受けたFrommの球はターゲットのGolladayのはるか上空に飛んでいってS McLeodの手の中に収まる。ナイスINT。McLeodは今季初INT。チーム10個目。24ydsをリターンして敵陣20yd付近からのOffense。いきなりGoedertへのスクリーンでTDかと思いきやWatkinsのHoldingで取り消し。しかしその後はHowardのランでゴリゴリと進み、最後はBostonが4ydを持ち込んでTD。ようやくリードを奪う。(10-3

・さらにDefenseがMiltonの今季2つ目のサックとか、またしてもAveryの逆サイドでSaquonを仕留めるナイスプレーとかでしっかり3凡に抑えたあと、今度はPunt ReturnにおいてReagorがタテにフィールドを切り裂く39ydのナイスリターン。STにもビッグプレーが飛び出し、再び敵陣20yd付近からのOffense。しかし今度は絶対に動いてないMailataのフォルススタートが取られたりHerbigがプロテクションを破られたりで思うように進まずFG。(13-3

・NYGがQBをFrommからGlennonにスイッチするも効果は見られず。安定のD#がこの日5度目の3凡に仕留め、その返しのシリーズではWatkinsへのロングパスで敵陣ゴール前に侵入。最後はDeVonta自身が”Michael Jacksonのようだったね”と述べたキングオブポップも真っ青の足捌きを披露して見事なTD。(20-3

・その後も流れは変わらず。4Qに入り、Howardを中心に組み立ててゴール前へ。最後はLaneへのパスで感動のTD。しばらく休んでいたLaneのメンタルに関する苦闘とかが思い出され、チームメイトみんなが喜ぶところには不覚にもこみ上げるものを感じた。いいシーンだった。(27-3

・仕上げはMcLeodのPBUからSingletonのPick6。これでめでたくSingletonは”Nick MullensとMike GlennonからPick6を挙げた唯一の選手”という称号を獲得。価値があるかどうかは知らない。(34-3

・見てないけどガーベッジタイムに一本取られて試合終了。(34-10

 

■主なスタッツ
<Offense>
投げる人
#1 Hurts:17/27(63%)199yds 2TD 0INT LG 46yds レーティング102.5 サック1

走る人
#26 Sanders:7回45yds(Avg. 6.4yds)LG 15yds 0TD
#35 Scott:12回41yds(Avg. 3.4yds)LG 9yds 1TD
#24 Howard:9回37yds(Avg. 4.1yds)LG 6yds 0TD
#1 Hurts:2回7yds(Avg. 3.5yds)LG 6yds 0TD
合計:30回130yds(Avg. 4.3yds)LG 15yds 1TD

捕る人
#6 Smith:5/7 80yds(Avg. 16.0yds)LG 46yds 1TD
#16 Watkins:3/3 43yds(Avg. 14.3yds)LG 39yds 0TD
#88 Goedert:2/4 28yds(Avg. 14.0yds)LG 16yds 0TD
#24 Howard:2/4 19yds(Avg. 9.5yds)LG 10yds 0TD
#18 Reagor:2/4 15yds(Avg. 7.5yds)LG 13yds 0TD
#14 Gainwell:1/1 6yds(Avg. 6.0yds)LG 6yds 0TD
#65 Johnson:1/1 5yds(Avg. 5.0yds)LG 5yds 1TD
#26 Sanders:1/3 3yds(Avg. 3.0yds)LG 3yds 0TD
#80 Jackson:0/1 0yds(Avg. 0.0yds)LG 0yds 0TD

<Defense>
パス:23/44(52%)118yds 1TD 2INT LG 11yds レーティング46.8 サック2
ラン:27回84yds(Avg. 3.1yds)LG 10yds 0TD

<Special Teams>
蹴る人
#4 Elliott(K):FG2/3(67%)LG 37yds・XTP4/4(100%)
#8 Siposs(P):4回170yds(Avg. 42.5yds・NET 38.5yds)LG 51yds Inside20:0

走る人
PR Reagor:4回50yds(Avg. 12.5yds)LG 39yds 0TD
KR Gainwell:2回30yds(Avg. 15.0yds)LG 20yds 0TD

<Penalties>
Offense:4回35yds
Defense:5回34yds
96番:1回5yds
ST:1回5yds
合計:11回79yds

 

■良かった人
Hurts & Sirianni
お世辞にも序盤のHurtsの出来は褒められたものではなかった。そしてSirianniのプレーコールも。
NYGのDefenseはどうやらあの手この手でPHIのランオフェンスを止めにかかっていたようで、Week8以降最低成績となる130ydsランにとどまった。
それにしても最初の3プレー連続パス、そして3凡という結果はいただけない。
だが2Q以降はそれなり。後半はもっと良かった。
この試合に関しては事前の想定通りNYGがZone Coverageを多用。それに対してPHIは"3-Level Stretch"や"Flood"といったZone Coverageに対して有効とされるコンセプト(詳細っぽいものは後述)で対抗。
しかしこれが非常に上手くNYGにアジャストされたため、2Q以降はUnderneathに対しては普通のパスではなくスクリーンプレーのフェイクを送るようなアジャストを行い、これが徐々に奏功し始める。
その結果が以下のようなバウンスバックに繋がる。

しかしこの試合で一番印象的だったのが、ゴール前でWatkinsに投げて失敗となったプレー。逆サイドでGoedertがガラ空きになっていた。これが中継でも流れたため現地メディアからは当然試合後にそのプレーに対する質問が。この質問をしたのはもちろん「いらんことしか言わん」でお馴染み、Philadelphia Inquirer誌のJeff McLane氏である。だけどまあこれについては彼が聞かなくても誰かが聞いたはず。
問題のプレーはこちら。

そしてそれに対するHurtsの回答が現地で非常に評判がいい。「もっと良くなるように頑張る」とかが定番だと思うが、こいつはそうではなかった。
曰く、「プレスナップの時点で画面奥のSであるXavier McKinneyはその対面にいたNO.2のReagorをキーにInside leverageでカバーすると思ったが、実際にはそうじゃなかった。でもこのつき方をされた場合にはモーションして入ってくるWatkinsを狙うように指導していたからそうしたんだよ。Goedertを狙うのは特定のプレスナップリードの場合だけだった。QBには決められたリードの順番があって、それに則ってプレーするように指導されている。」とまあこんなニュアンス。(詳細は細かいので一部割愛および意訳しております。)

これだよ。お茶を濁すのではなく、どういうプロセスでああいう結果に至ったのかをしっかり説明できる。まさにSirianniが就任当初から強調していた”説明責任”を体現している存在であろう。自分がどこにいて何をしなければいけないかをしっかり認識できている人間はどんどん成長していけると思います。私は強くそう思います。
Sirianniのアジャストと合わせて、苦しい展開の中でも良い結果に繋げられた良い出来だったと思います。

ちなみにこのプレーについては何回見てもWatkinsにMcKinneyが食いつける理由がないので単純にMcKinneyがめちゃくちゃ良いプレーをした、ということだと思われる。
HurtsがMcKinneyの動きを読んでいるのはMcKinneyもHurtsもAlabamaで同門だったことが底流にあるのだと想像され、BAMAで多用されるコンセプトだと睨んだHurtsと、相手がそれを知り尽くしていることを知っているMcKinneyの読み合いの結果、McKinneyに軍配が上がったのだと考えると何とも趣深い。いい味が出ている。こういう目に見えない勝負こそ過去からの濃厚な文脈を抱えたプロが集まるNFLの醍醐味の一つであろう。そう思うとひたすらに酒が進む。

(解説風:"3-Level Stretch"と"Flood")
Defenseがフィールドを何個かに分割して責任Zoneを作って守るZone Coverageにおいて、一般的に横には最大8分割ぐらいできるが、縦にはフィールドを2分割することがほぼ最大となる。
そのZone Coverage対策として、"3-Level Stretch"コンセプトでは、縦方向の2分割に対してDeep(20yds+)・Intermediate(10~20yds)・Short(~10yds)の3つのレベルの深さにそれぞれ人を送り込むことで、2対3だしまあどっか空くでしょう、というのが基本コンセプト。文字しても意味が分からないと思いますので映像を置いておきます。モデルはGBです。

"Flood"コンセプトは、乱暴に言うと合計2人しかD#の選手がいないところに逆サイドからレシーバーを"Flood=洪水"のように集めて3人送り込めば、2対3だしまあどっか空くでしょう、というのが基本コンセプト。少し古いですが以下参考映像です。

知ったような解説なんか書いておりますが、実際この2つの違いはよく分かりませんし、調べる過程で”3-Level Flood Concept”なんていう単語も出てきてパニックに陥りました。両方とも”Zone Coverageに対して有効なコンセプト”程度の理解でいいと思いますし私もそうです。

DeVonta
キャッチングマジシャン。こんな足の残し方をルーキーができるのだから酒が止まらない。

もう少しでD-Jaxが残したPHIのレシービングヤードのルーキー記録である912ydに手が届く。どうせなら16試合時点で追い抜いて試合数に関するエクスキューズを排除したいものである。現在821yd。あと92ydで記録達成である。

DL & Tracy Rocker
Rocker先生ごめんなさい。一時はあなたが悪いのかと思っていましたが、Miltonの成長なんかを見ているとどうやらそうではなさそうですね。
DLのスタッツの低下はSchwartz→GannonというDCの交代に伴うコンセプトの変化だと見受けられ、去年までは1Gapだけ守っていればよかったものが今年からは2Gap守る必要が出てきて若干出足が鈍っていた、というものだと理解しております。良し悪しはあるのでしょうが、正直Schwartz指導下での限界もひしひしと感じていたので結果として止まっているのであれば現状で大歓迎です。
本当は複数欲しかったSweatのサックも1つは出たしMiltonも久しぶりにサックを挙げたので良かったと思います。

Genard Avery
バックサイドからSaquonを仕留めたときは声が出たしMcLeodのINTもスタンツで入ってきたAveryのプレッシャーによるもの。非常によろしい。今季で契約切れるのか。一時は「何のためにいるのかわからない」というようなことを申し上げていたこと、深くお詫び申し上げます。Gannonが残留する場合に限り、来季も残ってくださいお願いします。

Gannon
戦前にお願いしていた通り、積極的なディスガイズを入れてFrommを散々混乱させていましたね。その結果、テイクアウェイが欲しいとは思ったがまさかPick6含む2INTとは。恐れ入りました。序盤のOffenseの停滞も、まあ負けることはなかろうと思えたのもひとえに最近のDefenseの安定感のおかげ。

にわかにHC候補として名前が上がりつつあるが、上記スタッツをみてもまあ納得。サック数が少ないのは個人的嗜好に合わないが、全般的には納得。
「HC候補に挙がっているが?」と記者に聞かれて「将来のことは考えない。過去のことも。今考えているのはWashingtonを倒すことだけだ」ですって。惚れる。
HeinickeはDeepの精度が非常に悪いようなのでこれまでの相性でいうと悪くない。しっかり導いてくださいませ。

Lane
フィールド上の味方選手の喜びようが素晴らしかった。本当にぐっと来た。ナイスTD。

 

■悪かった人
・OL
一体何が起こったのか。ランプレーが久しぶりに見るレベルで出なかった。特にアンダーセンターの際の決め打ちのランプレーは結構止められていた印象。
ちょいちょいKelceがやられていたのは気になる。来週も似たようなパワー系相手なのでしっかり立て直しをお願いします。

ElliottもしくはLovato
久しぶりにElliottが外したFGは41yds。まあ一番嫌いな距離帯ではあろうが今季はこれまで問題なく決めていた。なぜ外れたかというとちょっとLovatoのスナップがElliott側に逸れた。だがLovatoが全部悪いというのはあまりにも酷な微妙さだったからElliottにも責任はある。
とは言えこれまでがあまりにも順調だったことを考えると、プロボウルに選ばれなかったこれぐらいのタイミングで一度外しておくのも人間らしくて良いかもしれない。次はよろしく。

Gainwell
褒めた途端に球を落とすなこの野郎。

 

プレーオフ戦線
・NOが成す術なくMIAに敗北したおかげでまた少し楽になった。現在7位。

・詳細は省くが、WASに勝って、SF(vsHOU)とGB(vsMIN)が両方勝つもしくはCAR(@NO)とGB(vsMIN)が両方勝てばWeek17でプレーオフ進出決定。

・ちなみにですが、そんなに無理じゃないパターンでWASに負けてもまだ望みはあるのであまりイライラせずに観戦できそうでほっとしております。

 

■WAS戦
・今出ている不安材料はSandersが手の骨折とHowardが頸部の”stinger”(刺すような痛み。日本では”バーナー症候群”とも呼ばれる、コンタクトの際に頸部から肩にかけてバーナーで焼かれたような猛烈な熱い痛みが走るアレです。一時的に首や肩が動かなくなったりします。その日のうちに復帰できるパターンから頸椎に異常が出て長期化するパターンまで様々。)で離脱しているRB陣の層の薄さ。Howardは同じ症状から2019シーズンに長期離脱をしている経験があるので、明日には治る、というものでもどうやらなさそう。
じゃあGainwellとBostonで試合ができるのか、というとHurtsの足首も完調ではない今非常に不安。ここは生命線なだけにHowardの復帰が待望される。無理ならHurtsお前が走れ。
さすがに日本時間29日早朝、キャンプまでいたRB Kerryon JohnsonをPSに戻したのでパワー系は一旦これで何とかなりそう。だけど当然Howardの方がいいのでまだあきらめたくはない。

・その他、96番とかTarron Jackson他2名がCOVIDリザーブに入って急激にDEが弱体化しているが、このあたりはまあWAS戦前にでも。

 

最後の最後にJohn Maddenの訃報が飛び込むなど今年もいろいろありましたが、これにて本年最終投稿としたいと思います。幸いにも昨年のように解体を叫ばねばならない状況でもございませんので。

思い返すと不名誉なタンクゲームと旧政権の解体・新政権の組閣と騒がしさで幕を開けた1年でしたが、やはり一番興奮したのはドラフトでのDeVonta Smith指名の瞬間でした。
そのDeVontaが見事にシーズンでも活躍してくれていることやQB Hurtsに目途がたちそうなこと、何よりシーズン深まったこの時期に望外のプレーオフ争いをしていることを考えてもPHIファン各位にとっては非常に良い1年だったのではないでしょうか。違いますかね。

贔屓がお通夜な皆さまも、有頂天な皆さまも、来年もNFLというエンタメを楽しめる1年になることを祈っております。

まだまだ予断を許さない日々が続いておりますので、ご自愛ください。

年明けは通常通りWAS戦への偏見まみれの展望から始めたいと思います。

それでは皆さま、どうぞよいお年をお迎えください。