鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

宴のあと

著書それ自体よりもその後の裁判の方が有名な文豪三島由紀夫の著書に影響されたわけでは決してない。
そもそも当該作品に関しては読んだこともない。
ただただ夢からさめると厳しい現実が待っていましたよ、というお話し。

本題はバカスカ引っこ抜かれた攻守のキーマンについて。
そしてその穴埋めの動きに関するものです。

 

 

流出2枚

完璧なSuper Bowlの前半を経て、そこから記憶を失い、数日経ったら攻守のCoordinatorがいなくなっていた。
怖いこともあるものである。
人生は全く分からない。

 

就任2年目にしてSBに辿り着いたSirianniにとってはまごうことなき試練。
この試練に敗れた者を知っている。
いまやJAXで復活したが同じような道程を描いて就任2年目でSBを制覇したPedersonがそうだった。
Frank ReichをINDに引き抜かれて以来、Offenseが停滞していったことは記憶に新しい。

 

まああの時はWentzにあまりにもサポーティングキャストを用意しなかったことが大きな原因だったはずなので生まれ変わったRoseman擁する今回とは違う結果になると信じたいが。

 

とはいえPedersonが喪ったのはReichだけだった。
DC Schwartzまでは喪っていない。

 

なんでSBにも負けたのにこんな目に遭わなきゃならんのか、なんでいつもすんなり決まるHC選びがSB後までもつれてるんださっさと決めろよバカたれフランチャイズどもが、というのは完全なる愚痴である。

 

 

OC Shane Steichen

奇しくもReichを無情にもシーズン中にカットしたINDのHCに就任。

 

あの件でIND株というかDALと違ってかわいくない爺の株は激落ちしたが、Sirianniも貰っちゃったしWentzも引き取ってくれたしつまりAJをくれたしで今回のSB進出の立役者だけあってあまり悪しざまに言えない相手ではある。
Steichenさん、がんばってください。
フロントからいいサポートがもらえるといいですね。

 

さて、流出の影響がどこにどう出るのか、ということだけを考えていた1週間だったが、どうもよく読めず。
昔はプレーコーラーが、いわゆるチェスマッチ的な意味でOffenseのすべてだと思っていた時期もあったが、Sirianniを見ているとちょっと変わってきたというのが本音。

 

プレーコールの権限を2021シーズン途中からSteichenに完全委譲したSirianniだが、それ以降は試合前のゲームプラン作成に全力投球。
試合中は攻守のバランスを取る作業、Time OutやChallenge、4th DownやTry-For-Pointの判断といったHC業に集中。
その結果は、役割分担を見直して以降SBの敗戦まで22勝7敗。

 

Sirianniは試合後のスピーチでもちゃんとメモを読みながら褒めるような真面目な人で、これは多分に偏見もあろうが、そういう人たち特有の努力の積み重ねと、めちゃくちゃ悪い言い方をすると応用の利かなさとか視野の狭さを感じる人。

 

なので恐らく特異なひらめきというのはあまりなく、プレーコールをさせても勝手に袋小路にハマってしまう。
2021シーズンの序盤が最悪の滑り出しだったことと彼がプレーコールをしていたこととの間には強い相関があったというのは個人的な推測。

 

ただ、スカウティングの結果を踏まえて、パスコンセプトや、古今東西の戦術の引き出しを持つStoutland先生から出てくる素敵なランコンセプトを組み合わせたゲームプランの作成はお上手。
それをOffenseにインストールする手腕も確か。
前上司のReichはこのあたりを非常に評価していた記憶がある。

 

Steichen流出が決定していたSB後の記者会見でも"プレーコールはOCに任せる"旨を表明していた。

ただ、Sirianniはゲームプランの作成とインストールにはこれまでのように噛むのでHurtsの最大化とか継続性という観点での心配はなさそう。
問題は、"プレーコールという瞬発力への適性有無"と"Sirianniとの共同作業が出来るか・Sirianniスキームへのある程度の妥協を許容できるか"という主に人間性のところ。

 

Steichenも有能っぽかったがSirianniの存在がある限りあまり心配はなさそうというのは楽観視が過ぎるか。

 

 

DC Jonathan Gannon

こちらはMurrayとの契約のデカさが候補者にとっての足枷になっていると報じられていたARIのHCに就任。

 

どこまでもバランスを取ろうとするところが最後の最後の試合まで足を引っ張ったが、その人間性に疑いの余地はないし頑張っていただきたい。

 

DCとしてなら持っているFangioスキームは最高に現代風なので、高速LBと組ませたときにどうなるのかは見てみたかった。
その点ARIは、新GMがどうするか知らないが、LBを重視するフランチャイズな気がするのでもしかしたらもしかするかもしれないという危険性は認識しておく。

 

頑張っていただきたい。

 

こちら側で心配するべきなのが、現地で既に喧しくなってきた"Jordan Davisはバストなんじゃないか"論争。

 

彼はGannon Defenseにおいて必須となる中央のランストップの要。
スキームフィットがあまりにも完璧だったため汎用性があるのかが不透明。
まあダイエットしたら済むだけの話もするが。

 

微妙にではあるがトレードアップまでしたこの投資が無駄にならないようにする近道は現行のFangio Defenseを踏襲するか、もしくは3-4への移行。

 

ここ以外のポジションはぼっこぼこと穴が開いているのでスキームフィットへの心配はあまりない。

 

 

ちなみに、ここまで引き抜かれるのであればマイノリティからの抜擢が望ましいことは言うまでもない。

 

 

穴埋め

OC候補者
  • 第1候補者は内部昇格のQBC Brian Johnson
    Alex Smith(元SF・KC・WAS)からUtah大を引き継いだ元カレッジスターはHurtsの父親を恩師に持つHurtsのメンター。
    Utah大の歴代最多勝を挙げて卒業した後、母校で24歳からOCを務めたコーチ経験豊かな36歳。

    その後Mississippi StateでQBCとしてDakを育てたりHouston大でOCを務めたりしたのちにFlorida大にてQBCののちにOC就任。

    Florida大ではOCだったがプレーコールはHC Dan Mullenのお仕事だったが、Utah大ではプレーコール経験あり。

    その時どうだったが存じ上げないがUtah→Mississippi Stateはたぶん出世なので上手いこといったのだと思い込みます。

    Hurtsの躍進には間違いなくこの男の存在が利いているはずなのでOCになっても差し支えはあまりなさそう。
    Sirianniとも2年目なので大丈夫でしょう。

 

  • 第2候補者は…いない。
    Brian JohnsonのOC就任がいつ公式発表されるかだけの時間の問題です。

 

 

DC候補者

こっちは明確な候補者があまり見えないので現時点で囁かれている人たちを挙げるにとどめたい。
本当はFangioが欲しかったので全員が次善以下の策でしかないのがあまり興奮しない元凶。

 

  • PHI DBC & Passing Game Coordinator Dennard Wilson
    GannonがHC候補として騒がれた昨オフというか2022シーズンイン直前にDBCに加えてPGCの肩書を追加されたGannonの後継者候補筆頭。
    今季飛躍的に成長したDB陣だが、BradberryとCJGJの加入だけでは説明できないという噂。

    Coordinatorとポジションコーチの役割は、スキーム構築までがCoordinatorで、それのインストールがポジションコーチ、という分担になっているとのこと。
    この前提に立つなら、Wilsonのポジションコーチとしてのお仕事は結構素晴らしかったと言って良いはず。

    ただ、この人はコーチ業を始めておよそ10年間DBC一筋の職人なのでCoordinatorとしての能力は不透明。

    気になるのは最後の試合での対KCでのアジャスト負け。
    さてDCを務める能力はあるのでしょうか。

    コーチになる前はCHIでスカウトとして4年ほど活動していたこともあるようなのでこういうバックグラウンドは割と面白そうではある。
    そういえばGannonもそうだったな。
    アフリカ系。

 

 

  • PHI LBC Nick Rallis
    各所から評判の良さが聞こえてくる29歳の若者ももちろん内部昇格の候補者。

    2021シーズンのLBC就任以来、TJの躍進を見る限りにおいてはポジションコーチとして有能そうな気配が濃厚に漂っている。

    スキーム的なところをどう考えているのかは全くわからないが、Gannon同様元MINのMike Zimmerの薫陶を受けていることもあるのであまりいじらなそうではある。

    ただし、GannonとはMINでもかぶっていないものの、ともにZimmerに仕えた時期はあるため、あっさり引き抜かれてしまう可能性には腹をくくっておく必要がありそう。
    順調にいけば将来的にDC→HCという道を歩みそうなのは確実に見えるが、残念ながら白人。

 

 

  • SEA AHC Sean Desai
    インタビューのリクエストをSEAに出したと伝えられている有力な外部候補。
    Fangioの直系の弟子。たぶん。
    2015-18の期間にCHIでDC Fangioの下でコーチをしている。
    たぶん、とつけたのは、ポジションコーチだったわけではなく、Quality Control Coachだったことによるもの。

    その後Sコーチを務めたのちに昇格して2021シーズンの1年だけDCを経験している。
    2022シーズン最大の詐欺案件だったRobert Quinnを爆発させたりしているが、全般的な数字は微妙だったっぽいという感想。
    じゃないとD#畑の新HC(Matt Eberflus)を連れてくることの合理性が見受けられない。

    CHIの解体に伴ってSEAに行き、彼の地でFangioスキームの注入を実施。
    SEAもランD#が課題だったそうですね。

    スキーム的にはGannonからすんなり引き継げるはずでメンツ的なロスも発生しない理想的な候補者であり、39歳という年齢的にも個人的には現候補者リストで一番良いのではないかと思っているところ。
    理想的な教師であるCarroll翁から学べたのも大きそう。
    アフリカ系。

 

 

  • 前ARI DC Vance Joseph
    現時点で一番の大物。
    インタビューを実施したとかしないとか言われている状況。

    3-4からのブリッツハッピーD#という印象しかないが、5年目オプションを破棄されていたHaason Reddickを覚醒させたのはこの人。

    それなりにTake Awayが多いDefenseを構築しているが、あのあまりにも極端にブリッツハッピーなところはどうなのか。
    評判はあまり良くない。
    実は個人的には世間で言われているほど悪い印象は持っていない。
    なぜならARI戦は結構苦戦したから。

    DENでHCとして失敗しているが、SirianniがOffenseに注力するためにDefenseの責任者がHC経験を持っているのが貴重だと思うのであれば有力な候補になるのかもしれない。

    Sirianniは"就任以来Defenseサイドでも大事にしてきた考え(爆発的なプレーを防ぐ・サックやターンオーバーといったDefenseのビッグプレーが必要云々)があり、それには気に入っている"というコメントを残しているのでこの考え方と合致するかどうか。

    個人的には…微妙。
    嫌な予感はするが、Rosemanと組ませれば…という望みはまだありそう。
    スキーム変更は、あまり大きくはなさそうだが少しは発生するのでロスター編成上はやや不利な立場。
    HCに引き抜かれる可能性は低いと思っているが、アフリカ系。

 

 

  • 以上が現時点の候補者。
    外の血を入れることも大事だと思っているので、個人的には
    Desai(Fangio系)→Rallis(若さ)→Wilson→VJ
    という順番で興奮する。
    まあここは大人しく続報を待つしかない。
    1つ好材料なのは、1年前と違って今のPHIは外部候補からは相当魅力的に見えているはずだということ。
    その気にさえなれば現在余っている人材から最高の選択を採れるはず。

 

 

残ったあいつ

あいつとはSBでも失態を演じたあいつ。
STC Brian Johnson

 

Sirianniが明言したところによると、"残留"とのこと。

 

終盤に致命傷となったクソPuntとか、その後のTFPでも9人しかセットしていなかったシーンが確認されていたりとようやく現地でも悪い意味で注目され始めた存在だが、選手からの信頼はすこぶる高い。

 

シーズン終盤にはCoveyも良いリターナーになっていたし、何より2021シーズンにはElliottを復活させたという功績もあったのでここはフラット。

 

何故ならここの責任はRosemanにあるはずだから。
許されるためにJohnsonにとって必要なこのオフのムーブは、"Sipossを諦める"ということだけ。


Johnstonの放流とPunter選びの失敗を踏まえてこのオフは頼むよRoseman。
あと、BostonがいなくなるならKick Offのリターナーも欲しい。
うむRB Devon Achane(Texas A&M)の指名は必須だな。

 

 

GO BIRDS!!