Offenseが強いほうがこのリーグで勝つには有利だと知ったうえで、それでもなおカッチカチのDefenseを見せられるとそっちのほうが魅力的に見えちゃうのはなぜでしょうか。
LINE戦での優位を活かしての安定した試合運びだったと思います。
あいつは宿題を全くやってなかったけどな。
結果:PHI 25-11 TB
SCORIGAMI!!
PHI 25 - 11 TB
— Scorigami (@NFL_Scorigami) 2023年9月26日
Final
That's Scorigami!! It's the 1078th unique final score in NFL history.
展開振り返り
Goodrichがインアクティブ(ヘルシースクラッチ)となったことでNCBどうする論争は試合前に決着。
というかBradberryがまたケガしたらどうするつもりだったんだろうか、というなかなか思い切った処置。
TBボールでの開幕。
ラン中心で来る先方に対して、JobeのところからGodwinに通されて1st Downを1回獲られるが、Evansには通させずパント。それをCoveyがしっかり14ydsリターン。いいね。
返しのPHI OffenseはSwiftのラン(8yds)・マンツーマンのA.J.へのシャロークロス(28yds)・A.J.へのスクエアイン(16yds)で順調に敵陣深く、Red Zoneに侵入するも、ここからDeVontaへのスクリーンが進まず、続くSwiftへのスクリーンはいい感じに出たが、プレーアクションからOlamide Zaccheaus(OZ)へのパスが通らず迎えた4th Down。手前のDeVontaは空いてたね。
そして4th&1からのRPOはたぶん判断ミスでGainwellのランはストップ。攻守交替。
小気味よく進んだシリーズだったがRed Zoneに入った途端停滞。
一切成長してない。
自陣深くからのTB OffenseはOttonに長いのを通されるが、そこからはCarterがWirfsを押しのけてプレッシャーをかけてBakerをポケットから追い出すナイスパスラッシュもあってパントに。感動した。
このパントをCoveyが今度は52ydsもリターンして敵陣からのOffense。いいねいいね。
このチャンスはSwift中心ですんなり進み、いよいよRed Zoneへ。
さすがにさっきと違う結果を見せてくれようと期待していたところ、Stollへの中央の密集地帯への難しいパスが失敗、Goedertに短いパスを通したが反則、もう一度Goedertに投げるも息が合わず失敗、迎えた3rd&15も誰も空いておらずほぼ投げ捨ててFGに。
おいBrian Johnson。
今季のこれまでを象徴するかのような、ずっと押してるのに3点しか獲れてないといういつもの経過。(3-0)
この1Q終盤から2Q序盤にかけてはパントの蹴りあいで経過。
2Q14:42からのTBボール。PHI Defenseもよく粘ったしランはことごとく止めていたが、Evans・Godwin・JobeのDPIで3rd Downを3回成功されて自陣Red Zoneへの侵入を許す。
が、ここはランと、CarterのいいプレッシャーもありGodwinへのパスを止めて、最後はEvansへのパスをSydneyがナイスPBUでFGどまり。ずっと押してたのになぜか同点。(3-3)
まあしかしOLが圧倒出来ていたこともあり、続くPHI OffenseはGainwellでもしっかり進み、そしてHurtsから待望のZaccheausへの今季初となるパスが通って敵陣へ。
そして鬼門のRed Zoneに入ることなく、最後はポケット内でよく粘ったHurtsからアドリブを利かせたZaccheausへの34ydsTDパス。
このパスはポケットプレゼンス・QBWR双方の気の利かせ方・パス自体の難易度等が相俟ってHurts史上でも相当上位となる芸術点の高さであった。(10-3)
ここからずっとDefenseの若手がいいお仕事を続ける。
まずはBlankenship。Bakerの目を読んで、受け持ちZoneから果敢に飛び出す、Baker今季初となるINT。
Reed Blankenship intercepts Baker over the middle
— NFL (@NFL) 2023年9月26日
📺: #PHIvsTB on ABC
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そしてHurtsとSwiftのミスコミュニケーションによるINTを挟んで、Jalen Carter。
"俺が見てきたプロの映像のやつをやってみた"という素晴らしいPeanutパンチ。
Jalen Carter hustles to force the fumble 💪
— NFL (@NFL) 2023年9月26日
📺: #PHIvsTB on ABC
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ここから0:24を使い切ってElliottの38ydFGで前半終了。(13-3)
後半開始のPHI OffenseはDeVontaやA.J.・Goedertと短いパスを散らしながらもやはりSwift。というかOL。
Red Zoneに入ってからも一貫してSwiftで、最後だけHurtsが押し込んで待望のRed Zone Offenseの成功。(20-3)
ここからも前半の焼き直し。
カッチカチのDLを中心にDefenseがしっかり守り、Offenseはほどほどに進むがTDは獲れず、敵陣深くから鮮やかなSafetyを獲れた(22-3)のはこれまでと違ったが、それ以外は何も変わらず。
Elliottの26ydFGのあと先方にも1本TDを差し上げて試合終了。(25-11)
攻守ライン戦がとにかく圧倒していたので安定した試合運びができたという点では良かったし、Defenseについてはいうことが思いつかないが、やはりOffenseの詰めの甘さへのモヤモヤは拭いきれなかったという感想。
まあ勝って悩めるのは贅沢な話。
いい試合でした。
主なスタッツ
良かった人たち
- OL陣
Kelceは一体いつまで成長を続けるのか。引退する気はないのか。
Veaを完全に消せていましたね。
出色はJurgens。
開幕以来メキメキと力を上げているようで。
先週まではプロテクションに若干疑問がわいたが、この試合に関してはそれすらなし。
途中退場のDickersonの膝は少し心配だが現地水曜から何事もなかったように練習復帰しているようなのでひと安心。
ナイスなパンケーキもありましたね。
晩メシがパンケーキなんて断固として願い下げですが。
🥞 for dinner#FlyEaglesFly pic.twitter.com/Cmw4zlnCFA
— Philadelphia Eagles (@Eagles) 2023年9月26日(これは#89 Stollもナイスブロック)
これだけあれば誰でも走れる。とはいえSwiftの判断も各所で光ったし、いいスピードでした。
ナイスランユニット。
パスプロテクションも特段の不満なし。
敢えて挙げると、Lane側のカップが狭いシーンが今季はやや目立つ。そろそろ上げていってくださいませ。
- DT Jalen Carter
言うことなし。完璧。
想像以上の全体9位。
こんなもんが同地区に落ちてたらとっくの昔に発狂してる。
プロボウル2回・オールプロ2回選出という実績で若手OT業界のトップに君臨するTristan Wirfsを押し退けてのプレッシャーや、OG単騎では到底止められないところなど見所がたくさん。
Baldingerさんが興奮しながらハイライトを残してくれているのでこちらでご堪能ください。
.@Eagles @breadmanjalen might have been the best defensive player on the field last night Birds might have the best DT rotation in the NFL. #FlyEaglesFly #BaldysBreakdowns pic.twitter.com/4RfxT7aLI0
— Brian Baldinger (@BaldyNFL) 2023年9月26日全スナップはこちら。
Jalen Carter all snaps vs Buccaneers - week 3 pic.twitter.com/bGg2mKWPxO
— Athlete dynasty (@athlete_dynasty) 2023年9月26日
Hargrave時代はまだFletchがダブルチームを受けることが多かったはずなのでこれはFletchにとっても相当な朗報。
道理で最近動きがいいと思った。
そしてFletchのスナップ数も順調に減少している(50→44→32)のが本当に良い。
あのSafetyのシーンも、スラントしたCarterを無理矢理OGがブロックしようとしたことによってMorrowの上がるスペースが綺麗に空いたことが原因だったとMorrowは戦後に振り返っている。
ルーキーは早速チームを救っていますね。
- DT Jordan Davis
もうね。
最高だった。
2Q残り10:00ぐらいの、TBが両Wideに人を集めてBox内を軽くしてのランプレーをあっさり食ったプレーとか最高だった。
ランストッパーとしては1年目からよく出来ていたが、それがここへきてエリートの域に。
さらにパスラッシュの出足まで鋭くなってスナップ数も食えるようになってきたとはあんたは神か。
Carterの存在がいい刺激になっているようで。
この調子でグイグイ成長していっていただければ結構ですよ。
全スナップはこちらです。
Jordan Davis all snap vs Buccaneers • week 3 pic.twitter.com/RLnIm4higN
— Athlete dynasty (@athlete_dynasty) 2023年9月26日
- PR Brirain Covey
52ydsリターンはキャリアハイ。27.0ydsの平均リターンydsもキャリアハイ。
いい切れ味だったし本当に良かった。
本当に良かったんだが、そもそも9月のPlayers of the Monthにも選ばれた先方のP Jake Camardaがあまりにも飛ばすため、先方のパントのNET ydsは37.3ydsという結果でありこれはほぼMannの数字と同じ。
飛ばないけど(からこそ)リターンされにくいPか、
飛ばすけど(からこそ)リターンされやすいPか。
あなたならどちらを選びますか?
モメンタム的なことを考えると前者のほうがいいのでは?とちょっと思ってしまった。飛ばすPにもそれだけ難しさはあるのだということを痛感した試合でもありました。
これでもうロスター落ちはなさそうですね。
"うまいけど爆発力がない"と思っていたところはあるが、そんな懸念も吹き飛ばしてくれて本当に最高でした。
これにて"リターンチームが噛み合ってきたな"と思えた2022シーズン終盤から、という極めて恣意的な集計値によるとPunt Return関係の各種指標で堂々のリーグ1位。
足りないのはリターンTDだけですね。がんばってください。
Britain Covey since Week 13 of 2022:
— John Gonoude (@john_gonoude) 2023年9月26日
291 punt return yards (1st in #NFL)
14.6 punt return average (1st) (min. 15 returns)
13 punt returns of 10+ yards (1st)
9 punt returns of 15+ yards (1st)
5 punt returns of 20+ yards (1st)
4 punt returns of 25+ yards (1st)#Eagles pic.twitter.com/MmNOitohYB
- S Reed Blankenship
神出鬼没。
フィールドのどこにでも現れてタックルするし、ボールも奪える。
UDFA2年目とは思えない貫禄。
INTのシーンについてはDuffyさんが解説してくれてますのでこちらをどうぞ。
This was such a great pick from Reed Blankenship
— Fran Duffy (@EaglesXOs) 2023年9月27日
✖️ Cover 4 safety in QQH coverage
👀 Make sure Mike Evans is not a vertical threat
🎯 Gets eyes right to right spot
💨 Break on the ball and make a play#FlyEaglesFly
Full analysis on #Eagles win here! https://t.co/Ryt4mvPnzP pic.twitter.com/sMUkzwhEc1
復帰したらDefense全体が締まった感まである。
6タックル1INT1TFLはお見事です。
- LB Nicholas Morrow
Safetyの1プレーだけではない。
あれはDavis・Carter・Morrow・Cunninghamの全員が良かった。
この試合はずっとボールに顔を出してたし、OLの処理もなんだかCHI時代より相当良くなってるし、パスカバーはもとから上手いしで文句のつけようがない。
こうなれば心配が一つ。Deanの帰る場所はありますか?
- S Sydney Brown
プロセスでは完全にEvansにチギられていたのに最後の最後、必死のリカバリーと執念のPDで逆転TDを防いだ2Q終盤のシーンは胸が熱くなった。
そのシリーズでは序盤にいいつぶれ役になってBradberryのタックルをアシストしたシーンもあった。
今のところ地味ではあるが、出番も増えてとてもいい成長を見せてくれていると思います。
いつの間にかハムストリングを傷めていたようで木曜までDNPになっており次戦出場が危ぶまれているのが痛い。
出てきてほしい選手です。
- Defense全体とDC Sean Desai
その他もDefenseは全員良かった。
一番良かったのは、BradberryをSlot起用することにしたDesai。
Jobeはこの試合も多少通されたが総じて良かったはずで、EvansだろうがGodwinだろうが臆することなくよくカバーしていた。
まあ一発綺麗にEvansに抜かれていたがバレずに済んでなにより。
ガシガシ成長していってください。
Bradberryが中央にいる安定感たるや。
それほど練習してないはずだがカバレッジのミスは見受けられなかった。
懸念は一度通されていたタイミングの早いパスだがああいのはもう少し慣れていけば問題なさそう。
DLの圧力と安定したパスカバレッジ。
いいんじゃないでしょうか。
-
QB Jalen Hurts
特に美しいスタッツではない。
INTも2つあった。
だが本人も、どちらかというとホッとしたという感じだったが、喜びを隠さなかったことからもわかるように、本当にいい成長だった。
プレーオフデビュー戦となった2021WildCardでの、Todd Bowlesにいいようにもてあそばれての0TD2INTがもたらした0-31(最終スコアは15-31)。
遡って2021Week6での成功率46%1TD1INT。
恐らくHurtsのキャリア最低試合を常に演出してきたのがBowlesだった。
この間、ほかのチーム相手には63%の成功率でレーティング93.4を叩き出しているにも関わらず、この2試合合計の成功率は50.7%でレーティングは58.4。
そんな相手を迎えるにあたって、さすがのHurtsも”あの試合は忘れられない”と戦後に明かしたように相当に意識はしていた様子。
確かに(微妙にHurtsの罪のほうが重そうな)Swiftとのミスコミュニケーションや、若干DeVontaに責がありそうではあるが、Hurtsの落としどころも良くなかったINTの計2INTは食らった。
成功率も70%近くあるいつもと比べると悪かった部類だろう。
だが確かな成長はあった。
Hurts本人も"前回対戦したときは、ポケットの中で我慢することがうまくできなかった。今夜はそれが一歩前進できたと思う。"と述べているように、Zaccheausへのパス2本は本当に見事だった。
これ。What a drive for Zaccheaus!#FlyEaglesFly pic.twitter.com/AFxwxSHk0h
— NFL UK (@NFLUK) 2023年9月26日そして素晴らしかったこれ。
Hurts stands in the pocket and delivers to Zacchaeus!
— NFL (@NFL) 2023年9月26日
📺: #PHIvsTB on ABC
📱: Stream on #NFLPlus https://t.co/NkpBC1YFYJ pic.twitter.com/plwzOOpd8PJalen Hurts' pocket presence is next level.
— NFL (@NFL) 2023年9月26日
📺: #PHIvsTB on ABC
📱: Stream on #NFLPlus https://t.co/NkpBC1YFYJ pic.twitter.com/FvFEdgnujm
これでこそ50Mにふさわしい。
散々苦労させられてきたディスガイズと、予想外のところから飛んでくるBlitz、絶え間なく変化するカバレッジのルックなどに対しては、よくホットレシーバーを見つけていたし、ダミーコールなんかも多用して事前にBlitzを嗅ぎ取ろうとしていたし、事実うまくいっていたシーンも見た。
そしてなにより上述したポケットプレゼンスの向上。
これらが重なっての今季最多となる10yds以上のパス11本成功というパフォーマンス。
美しいスタッツには全くならなったが、確かな成長は見せた。
そして何より、Bowlesがいるレイモンドジェームズスタジアムで勝てた。
いつものように"勝っても負けても、満足することはない"というHurtsだが、この日はそれに1つ付け加えていた。
"一歩前進することで、すべてのことから学びたくなる。そこから学び、それを土台にし続け、今日のミスから学び続ける。それが前に進むための最大のポイントだ。"
宿敵を乗り越えた、この日の成長がまた次の成長を生むのだそうです。
どこまで行ってくれるのか楽しみでなりませんね。
悪かった人
- OC Brian Johnson
Hurtsは良かった。
だがキサマは通さない。
この試合で最大のストレスとなったのはRed Zone侵入5回に対して1TDという詰めの悪さ。
全く成長してないどころか退化してるじゃないか。
宿題は課してたはずだよ?この10日間何をしてたのかね?
達人Andy Reidがせっかく実地訓練をしてくれたのが7ヶ月前か。
あのSBでのDefenseのやられ方をみて何も学ばなかったというのか。
飽きもせずにオープンフィールドと同じようなプレーばっかりやりやがって。
もっとモーションを混ぜるとかで人を外すようなことはできないかね?
Steichenはこのあたりうまかった記憶があるが、そもそものモーション使用からして非常に少ない。
リーグ最低クラスに少ない。
This is probably a more useful motion chart.
— Seth Walder (@SethWalder) 2023年9月26日
Motion at the snap rate on designed run plays (x) by motion at the snap rate on designed pass plays.
Data via @ESPNStatsInfo. pic.twitter.com/PHLqlEBRSY
しかし表右上の4チーム(MIA・LAR・SF・GB)は徹底してるな。
Shanahan一派はさすが。
シーズン序盤はこれでいいんだ、ということならいいが、そんなに余裕がありそうにも見えない。しっかり学んでいろいろ取り入れていってください。
対Bowlesという点ではいいやり方を見つけていたようなのでこれで即カットとは叫ばないが、Red Zoneという課題は一切解決していないことを肝に銘じて次こそはなにかをよろしく。
評価保留
- 両EDGE
沈黙を続ける両EDGE。
特にReddickだが、どうもスキーム変更の影響も受けている様子。
極端に言うと、
前任のG*****はパスラッシュありき→ランならリアクション、
というスタンスだったようだが、
Desaiは、特にアーリーダウンではまずランストップ→パスならリアクションしてパスラッシュ、
というスキーム変更を加えた様子。
Davisの成長とCarterの加入で見えづらくなっているが、確かにCギャップからオープンフィールドへのランで手痛い打撃を蒙ることは少なくなった印象がある。
トータルDefenseでは310yds/Gameでリーグ12位だが、ランDefenseになると48.3yds/Gameで堂々のリーグ1位にいるのもこの効果でしょう。
G*****時代にランがとまらず歯がゆい思いをし続けた者からするとまあこっちでもいいか、パスもG*****のときのように中央が空き続ける無策感もないし、という受け止めです。
ここまで特にDefenseにストレスがあるわけでもないので、スタッツ的に地味になってしまうのは仕方ないものとして整理しています。
Reddickについていうと、やはりEDGEラッシャーとして手が万全でないというのはつらいでしょうからもう少し様子見ですな。
Week4はいよいよ同地区初戦となるWAS戦。
2022シーズンの連勝を止められたのもWASだった。
なにかある。
Lincでの試合とはいえ気は抜けない。
燃えるべきなのは1年前にダーティなフェイスマスクの反則で肩のケガを負わされたGoedert。
しっかりやり返しなさい。
GO BIRDS!!