"I would love to blow a team out, but I'll take it. A win's a win. We're not playing our best ball right now, but we're finding ways to win games."
(圧勝したいのはやまやまだけど、受け入れるよ。勝利は勝利だ。今はベストのプレーができていないけど、試合に勝つ方法は見つけている。)
ーJason Kelceー
Kelceに言われるまでもなく、開幕からストレスフルな試合が続く。
難敵が雁首揃えるシーズン中盤以降の戦いに不安は尽きない。
結果:PHI 34-31 WAS
少し改善が見られたのがOffense。
期待値を下回ったのがDefense。
チームを救ったのはBGとElliott。
展開振り返り
WAS Offenseからの開幕シリーズで狙われたのはSlay。というか、McLaurinと、モーション後でNCB Bradberryを動かしたあとの外CBとの微妙なミスコミュニケーションの狭間を衝かれたりであっさり自陣侵入を許す。ちなみにだが、このシリーズで1PBU・1TKLのJobeのカバーはキレキレでした。
そこからはいいタイミングでハマったスクリーンとMorrowのホールディングでゴール前へ。あっさり先制を許す。(0-7)
返しのPHI OffenseはA.J.。
必殺のスラント2発で敵陣に侵入。DeVontaへのフェイスマスクの反則にも助けられてRed Zoneへ。
この課題のエリアで、久しぶりにRPOがうまくハマってGoedertが8ydsのゲイン。
これがSwiftのTDランに結びつき同点に。(7-7)
そしてWASはどこまでもMcLaurin。
Edmundsがビビって下がりすぎてSlayとの間にぽっかり空いた直径15ydsの大穴に、よりによってなんでこいつがいるんだ。
この24ydsのゲインで自陣侵入を許したあと、副菜はLogan Thomas。
責任は微妙だがたぶんBlankenship。身長差でフィールド中央に27ydsのパスを通され、ゴール前に。
唯一訪れたチャンスは直後。BGの猛プレッシャーでHowellのパスはふわふわと力なく浮き上がったが、これをEdmundsが痛恨の落球。
INTしごろのボールを落とすのは普通にパスを通されるより罪が重いのです。最後はRobinsonのランをMorrowがかきだしたがボールを押さえたのはMcLaurin。取れる時にボールとか点を取っておかないと絶対にこうなりますよね。(7-14)
すぐに追いつきたかったPHIだが、4th&1からのスニークでDickersonがオフサイドの反則を取られてパントに。
そしてここから試合は停滞。
合計3本のパントを挟んで動いたのは2Q残り6:06からのWASボール。
きっかけは、本当にこれが大の苦手な、一生止まらない気しかしない、バンチ隊形からのクロスルートに対するアジャストの失敗。
SlayとBradberryがトップのLogan Thomasに気を取られている間にNo.3の位置からぬるりと出てきたDyami Brownが高校生でも通せるほど大オープンに。
たぶん責任はSlayになるんだろうが、毎度毎度いったいどんなインストールをしているのかねDesaiさん。
これで35yds進まれて残り2:00でRed Zoneへ。
BradberryのDPI(Curtis Samuelが身長6mの巨人ならわかるがあんな投げ捨てにDPI適用するかねシマウマ各位よ)があってひやひやしたが、SweatのサックなんかでなんとかFGに凌ぐ。(7-17)
前半残り1:39からのPHI Offense。
WAS戦・前半終了間際となれば主役はこの人DeVonta Smith。ドラフト時に熱望したEmmanuel Forbesの頭上から37ydsのパスをキャッチ。
相変わらず華麗ですな。
とはいえ時間もなく、最後はElliottの41ydsで3点だけ追加して後半へ。(10-17)
後半から、前半ちょこちょこ痛そうな素振りを見せていたJurgensがOUT。
RGにはOpeta。
このシリーズはHurtsからA.J.へのピンポイントのサイドライン際のパスで敵陣に侵入するも、Opeta vs Payneが絶望的なプレッシャーとなりHurtsに襲い掛かったせいもありFGに。(13-17)
続くWAS OffenseはDotsonの珍しいドロップでパント。
そして3Q残り9:24からのPHI Offense。
SwiftへのSluggo(SlantからDouble MoveでのGoルート)がホールディングをもらったりDeVontaへのスクリーンなんかでちょこちょこ前進した締めくくりはGoedertへのスクリーンフェイクからタテにForbesをブチ抜いたA.J.が、得意のRACで、そしてDeVontaとOZの献身的なブロッキングにも助けられて59ydsのTD。
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このプレーでHurtsがラフィングザパサーの反則をもらっていたためSirianniは2PTを選択。Gainwellがあっさり持ち込んで8点追加。(21-17)
返しのWASシリーズはMorrowのこの日2つ目となるサックでパントに。
そしてPHI OffenseはHurtsのこの日おそらく最高となるスローがGoedertに通って敵陣へ。その後もSwiftのラン・DeVontaへのパスで問題のRed Zone。
ここで4Qを迎え、最初のプレーがこの日最大の問題案件。
シチュエーションは敵陣16yd地点からの3rd&11。
プレーコールは"GainwellへのOutside Zone"。
結果はもちろんノーゲイン。ファンブルのおまけつき。(Laneナイスカバー)
ここはライブ時点からはらわた煮えくりかえったシーンだったので後述。
結果FGでリードは広げるが、ワンポゼッションゲームには変わりなし。(24-17)
そして返しのWASはショートパスをテンポよくつなげてPHI陣深くへ。
最後はBrian Robinsonに15ydsを走られてTD。同点。
このシリーズの何が腹立たしいって3度発生した3rd Downをすべて更新されたこと。
大外からフリーでBlitzしたのに何も起こせずHowellを外に逃がしたりその直後に3rd DownでHowellにレイトヒットをかましたりとやりたい放題だったTerrell Edmundsさんにおかれては反省と改善もしくは引退をお願いしたい。(24-24)
ここから試合はまた膠着。
Hurtsの長いパスは通らず、DefenseではReddickの今季初サックなんかもあった守りあい。
そして試合残り3:20からのPHIボール。
直前に落球したOZへの難易度の高い中央へのパスで1st Downを獲得すると、A.J.への短いパスが通ったりで敵陣30yd地点へ。
ここでHurtsからのシグナルでDouble Moveでエンドゾーンまで駆け上がったのはもちろんA.J.。Hurtsが綺麗にパスを合わせ、28ydsのTDレシーブ。
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しかしA.J.が直前のレシーブの際も、というか1試合通してやりあっていた先方のCB Forbesに対してトーンティングの反則を取られてKick offが15yd罰退に。(31-24)
案の定ちゃんとリターンがやられたことも加わってWASは自陣36yd地点からの攻撃。残り時間は1:36。
ちょーっとTD獲るの早かったかなと思っていたところ、案の定全然止まらない。
全般にゆるふわカバーが目立ち、WASは残り5秒でPHI陣10yd地点。
ここでHowellが選択したのがSamuel。だがエンドゾーン手前へのパスという悪手は失敗に終わり、残り1秒。
後出しで恐縮だが、ターゲットはわかってた。
エンドゾーンまで絶対に行かないといけないという縛りを考えると、そんなものわざわざサイドを替えてSlayがマッチアップしに行ったMcLaurinでも、サイズつまりリーチで多少のクイックネス差を帳消しにしてくるBradberryにもつかれているSamuelのところでも中央でDBがひしめいて待ち構えているLogan Thomasのところでもない。
狭いサイドで孤立しているJobeとマッチアップするDotsonしかなかろう。
内側には味方がいっぱいいるということを忘れたのか、内側に振り向いたDotsonに過剰に反応したJobeだったが、Howellはしっかり外肩に投げ込んでおり、見事なTDに。
JAHAN DOTSON AS TIME EXPIRES SKSOS
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しかし最悪のシナリオはここで2PTで逆転を狙われることだったはずだがWASの選択は1点。本当に助かった。(31-31)
今季初のOT。
コイントスはWASの勝利でPHIはDefenseから。
そしてDefenseはこの日の鬱憤を晴らすかのような働き。
まずはMilton。バックサイドのGT間を割り込んでBrian Robinsonをロスタックル。
そしてここから2つがBlankenship。
まずは短いパスを捕ったDotsonにRACを許さず中央で堅実なタックル。
そして3rd&5からNo.3にMcLaurinを入れるという姑息なというか有効な策を弄してきたWASに対して立ちはだかったのもBlankenship。
McLaurinにはちぎられたが球際まで粘った結果、自らの腕を踏ませたことによって爪先数センチあるいは数ミリでMcLaurinはOut of Bounds。パス失敗。
Reed Blankenship sacrificing his arm to make sure McLaurin doesn’t get the foot down in bounds pic.twitter.com/tGxNickeiJ
— Shane Haff (@ShaneHaffNFL) 2023年10月1日
このどうしたってBlankenshipとMcLaurinに注目が集まるプレー、1テクについたBrandon GrahamがCを瞬殺して割り込んだことでHowellはパスを浮かさざるを得なかったということ、私は決して忘れません。
BGナイス。
最後に頼りになるのはやはり酸いも甘いも知り尽くしたベテランたちですな。
WASのパントがショートして自陣41yd地点からのOffenseとなったPHI。
スニークで1回、DeVontaで1回それぞれ1st Downを獲り敵陣38yd地点へ。
Elliottの脚を考えるとここで充分だがまああと10yd進んどくか、というときに起こったHurtsのインテンショナルグラウンディングの反則。
これはHurtsからのシグナルを見落とした(であろう)A.J.と、プレッシャーを許したOL陣という2つの失態の合わせ技。
プロテクションの責任は先に届くはずのDEを無視して後入りのBlitzに反応したLane。
DEのラッシュのうちからSFがBlitzするという先方のパッケージに対し、セオリーではLaneはDEにリアクションすべきところ、何を考えたのか直前でBlitzのほうにリアクション。
Laneがセオリー通りDEにリアクションすると思い込んでBlitzピックに向かったSwiftと対象が丸被りになったことでDEがフリーラッシュに。
これによりHurtsはA.J.任せのボムを急いで投げたが、そこにA.J.はいなかった。
これで11yds罰退に加えてロスオブダウンで迎えた3rd&17。WAS陣45yd地点まで下がっていたのでいかにElliottとはいえ確実な圏内ではない(たぶん63yds)し、仮に外した場合WASに相当有利なフィールドポジションを与えることになることからもあと10ydsは欲しかった状況。
これを救ったのが浅いところを走りこんできて、いつものようにHurtsのパスを捕ったDeVonta。9yds獲得でWAS陣36yd地点まで進んでElliottの54yd。
はい。
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— NFL (@NFL) 2023年10月1日
(34-31)
主なスタッツ
Hurtsは今季初の300ydゲーム。
今季初の複数TDパス。
Defenseも今季初の100ydラン献上。
想像以上にWASの両LINEが強くて笑っちゃった。
Coveyのパントリターンはまぐれじゃないですね。
この試合も相当良かったです。
良かった人たち
- K Jake Elliott
前任者Caleb Sturginsの負傷でCINのPSから呼び出されたかつてのドラ5選手のクラッチさは天井知らず。
今季2回目のNFC Players of Weekのようですね。
おめでとう。
チーム的には週間とかそういうことではなくElliottこそがここまでのチームMVP。
あと10年はイけそうですね。
- DT Fletcher Cox
もうね。完全に6~7年前の全盛期を思い出してるじゃないか。
JCのことが大好きなおじさんは、最近元気な若い奴らからえらく刺激を受けているようで、"毎日楽しい"というようなことを語っていたが、パフォーマンスも絶好調。
RG Sam Cosmiを片手で吹き飛ばしたシーンなんか涙が出そうだったよ。
いいね。
とてもいいよ。
あと5年はいけるね。
LAR戦は欠場なのが非常に残念。
まあしっかり治すとともにゆっくり休んでください。
- サック王Nicholas Morrow爆誕
そんなキャラじゃないのにこの日なんと3サックの活躍。
キャリア4サックだった男のまさかの狂い咲き。
主にスパイでうろうろしていたところから逃げようとするQBを仕留めての3サックだったが、それでもビッグプレーには違いない。
それ以外のシーンでもOL処理も十分にできていてボールにしっかり絡めており、この日は10ソロタックル。素晴らしいですね。
シーズンを通じていい活躍。
Dean復帰となってもMorrowを外すのは現実的ではないのではないでしょうか。
多少ランストップを犠牲にしてもいいので彼は外さないでほしいところ。
-
WR A.J. Brown
最近主戦場をDeepからアンダーニースに戻した感もあり、やはりスラントの切れ味は抜群でルーキーCBごときでは太刀打ちできなかった模様。
非常にいい働きでした。
ちょいちょいHurtsとイメージを共有できてなさそうな場面もあったが、シーズンが深まるにつれてなんとかなるでしょう。
なんとかしてください。
ただ、あのトーンティングはいただけない。
本人も"俺はベテランだ。不必要なことだった。Kickoffでロスしてしまった。Jalen(Hurts)にも怒られたよ"とのこと。反省してるんならいいんだがね。
次もよろしく。
悪かった人
- HC Nick Sirianni
問題のシーン。
4Q最初のプレー、敵陣16yd地点からの3rd&11。
このプレーコール、実はOC Brian Johnsonはパスをコールするつもりだったようだが、Sirianniがあのプレーを押し切ったとのこと。
ということで全部Sirianniの責任です。
プレーコールのセンスなんかまったくないくせにいらんことをしてるんじゃねえ。
Sirianniがプレー選択に口を出すというのはたまにあることなのだそうで、なんならSteichen時代もあったとのことで、あの最悪のコールもこれの一例。
狙いとしては"軽いBoxで来ると思った。全く同じプレーとは言わないが、それに似たプレーを6menの軽いBoxに対して実行し、成功したことがある。"
とのこと。
確かに3rd&11というシーンで普通のランをコールすると、それがパスを警戒しているDefenseに対してカウンター的にはいって思わぬゲインに繋がるという例はあるんだろうしまあなんかそんなのを見たこともあるよ。
だがこれは違う。
敵陣のあんな深くではBoxが軽かろうが11ydsもとれるほどランでは出せんでしょうよ。
逆目に張るのはなんとなくかっこよく見えるが、そもそものセオリーとしての3rd& LongとかRed Zoneの攻め方をもう少し突き詰めてみませんかね?Sirianniさん。
そして2022シーズンは必殺の武器として機能したRPOの効率が著しく悪化しているとのこと。
昨季は平均8.1yds出たRPOが、今季は3.8ydsにまで劇的に悪化。
どう対策されているのかは専門家の分析に任せたいが、感覚とも一致する。
Hurtsのランが著しく制限されていることもあり、この辺りはDefenseにうまくハメられている印象がある。
どうしたらいいかは知らんがなんとかしていただきたく。
それと、Goedertの使い方もよく考えてください。
- OG Cam Jurgens・LT Jordan Mailata
やはりWASのDLは別格。
JurgensはPayneに、MailataはYoungに、なかなかすがすがしいやられ方。
Chase Youngは長い負傷期間を経てようやく全体2位の格を取り戻した感じか。やっぱりACL明けは2年目からが本領ですね。
見れば見るほど細かいテクニックもあるし緩急も激しいしでまあいいEDGEですな。
そりゃバックボーンが足りないMailataじゃ相手にならんのも納得です。
WASはさすがにDTへの投資が過ぎるので囲い込めないと思うとこのままだと今オフFAの目玉となること確定でしょう。
どうだろうPHIに来ないか?
お互いに致命傷には至らなかったが、プレッシャーがかかり続けたことでHurtsのスローに地味な狂いが生じていた可能性がある。
ベースが安定しないとなかなかスローの品質も安定しなかろうというのは察しがつく。
カバーの人数が十分多いのにこのレベルのプレッシャーがかかってくるのが冬の対戦相手の特徴だと思われるのでHurtsもこれに慣れていってください。
しかしなんというかまあ殿堂入りには理由がある。
各時代において傑出した存在がそれにあたるのならばやはりKelceとLaneこそがふさわしい。
WASのDLがどれだけ投資していようが、彼らには関係ない。
完璧。
どうだろう2人とも引退は5年後ぐらいですかね。
- DC Desai
WASの3rd Downは17回中8回成功の47%。
これでPHIのDefenseは4試合通算で46.2%という被3rd Down効率となりこれはリーグ26位というクソっぷり。
ただし、3rd& Longでは割と優秀なようで、3rd&7以上になると24回中4回しか1st Down獲得を許していないのだとか。
一方で3rd&6以下は28回中20回の1st Down獲得を許しており、この71.4%というやられ方はリーグワースト。
このスタッツはどう理解したらいいのだろう。
DLが強いので3rd Downといえども先方はあまり時間をかけずに早いタイミングで短いパスを投げることが多いが、アンダーニースががら空きになっちゃってるからズルズル通されているということであればLBの問題もあるのだろうが、なんだかカバレッジスキームの構築とかインストールに問題がありそうですごく嫌だ。
前述したOffenseの劣化といいこれはちょっといただけない。
戦後にNCBとしてベテランのBradley RobyをPSに入れたが、これがいいほうに転べばいいんだが。
もう少し様子は見たいが、今のところパスカバーという点ではちょっと物足りないところです。
Kelceが言うように、勝てているのはいいことで、負けるよりはるかにいいんだが、序盤の緩いスケジュールでこれか、というのが将来的に向けた不安しか生まない。
まあそんなものはどこも一緒か。
次はLAR。
Cooper Kuppも出てくるしJurgensはいないしでなかなか見通しは暗いが、毎度のように勝つ方法を見つけてやっていってください。
GO BIRDS!!