鷲の巣

NFL フィラデルフィア・イーグルス(Philadelphia EAGLES)の応援ブログ

ほぼラストピース

今季のDefenseスキームについて、Sirianniも明言はしていないし、春のうちは11on11もないし、Reddickも”なにをやるかはシーズンが始まればわかる”というようなことを言ってて教えてくれないしで厳密にはわからないが、恐らく2021よりも4-3 Underのような隊形が増えるのではなかろうかという現地観測。
去年時折見せた3DTのいわゆるBear frontのような形はランが止まらないことに対する苦肉の策だったと思っており、あのNTにJordan Davisをはめれば上手く運用できるのだろうが、そもそも使用頻度を減らしてほしいというのが願い。2Gapを食えるランストップの達人・Jordan Davisを獲得した意味がないから。

さて、そんなDefenseスキームについて調べたものを開陳しようと思っていたら驚きのニュースが飛び込んできたので、やや遅くなってしまいましたが今日はそっちです。

James Bradberryの加入

バッコリと空き続けていたCB2の穴にパーフェクトにフィットしそうな御仁を獲得。
一応の経歴を。

James Bradberry CB(Samford)6'1"(185cm)211lbs(96kg)
今季開幕時には29歳。2016の2巡62位でCARから指名。CARでは4年間で60試合に出場(全先発)。
その後2020にUFAでNYGと契約。2年間所属したNYGでは主に相手のWR1を担当していたようで、その間PHI相手には4試合1INT0TD。
2020には"Slayよりこいつの方が安い割にいいじゃないか"と試合中にも思ったしプロボウルに選ばれたことでRosemanに憤ったこともあった。

eagles-nest.hatenablog.com

キャリア通算で92試合15INT82PDは立派な数字ではないでしょうか。
INT数だけで言うと2021はキャリアハイの4INTを記録している。
6年で92試合出場(欠場5試合。うち1試合はCOVID。)というタフガイっぷりも素敵。

獲得の経緯

Dave Gettlemanの放漫経営の象徴のような扱いを受けていた印象もあるが、契約内容というかキャップが放出の原因となった様子。
2020にNYGと契約した時のお値段が3年45M。その契約の最終年に当たる2022のキャップヒットが21.9Mだったようで、足元のかっつかつのキャップ事情的になんとかしたかったというのがNYGの思い。
で、ドラフト期間中もトレード先を探していたようだがその値段を嫌って誰も飛び付かず。もちろん我らがPHIは候補にも挙がっていない。
結局現地5月10日とかにNYGからリリース。NYGはこのムーブで10.1Mをセーブ(11.7Mがデッドマネー)したとのこと。

そして巻き起こる争奪戦。
プロボウルCBの流出ということもあって割とヒートアップしたその争奪戦の参加者は、結局11チームにまで膨らんだ模様。
もちろん我らがPHIも名乗りを上げたに決まっている。
シェフターによると、代理人が3チームに絞ったのち、Bradberry本人が指をさしたのがPHI。
Bradberry本人曰く、”時にDBのベストフレンドはDLだからDLがちゃんとしたチームを選んだ””スキームフィットも問題ない”とのこと。
NYGの番記者によると、”Bradberryは勝てるチームに行きたかったからもっといいオファーはあったがPHIを選んだ”とのこと。

確かにPHIとの契約が7.25M保証の7.5M、インセンティブ込みで最大10Mだと報じられているので、想定市場価格と比べるとだいぶお安い印象。素晴らしい。

感慨深い。
ReddickとWhiteの獲得に”地元民しか来てくれないチームに成り下がったのか”とか”そんなに魅力がないのか”と嘆いていたのはほんの2ヵ月前です。

そこから、(Reddick・)Jordan Davis・AJ Brown・Nakobe Deanの獲得を経てTop TierのFA選手から”勝てるチーム”認定をいただけた。
こんなにうれしいことはない。よくやったRoseman。

これは完全に余談ですが、最近決まりだしたフロントオフィスに新入閣するメンツも非常に評判が良い。いいぞRoseman。

タイプとフィット

その身長から想像がつくように、マンツーマンでNo.1WRをシャットダウンできるタイプではない。それにはスムーズさが足りない。
しかしゾーンカバレッジでQBの目を見てプレーする分には抜群の輝きを見せる。心に残って離れないのがこの意味不明なプレー。

クッションをとってプレーするゾーンカバレッジで一番大事なのがこのボールへの寄せの部分だと思っており、その点でこのプレーは最高。
なんならこのプレーは状況認識もプレーリードもクロージングスピードもキャッチ力も全部が全部意味不明。クレイジー。最高。
そのちょっと前に似たようなパッケージでMcLaurinに1stDown獲得を許したプレーがあったにしてもその学習能力は素敵のひとこと。まあこの試合はマンツーマンでMcLaurinにだいぶやられてたけどこの大事な局面でのビッグプレーで全部許される。

プレーサイドも問わない選手なので、ゾーンカバレッジが多いGannonのスキームには綺麗に当てはまる。ピタリと。当てはまる。

一方で、2021に若干成績を落としているという話があったのでBradberryのPHI戦を観たが、”Patrick Graham(NYGのDC。現LVの同職。)が上手すぎる”と”Hurtsキサマ…”という結論しか出ないので正直よくわからない。
2019のCARを観てもKuechlyの異次元のプレーに目を奪われて”あんなLBが欲しい”という感想にしかならなかったので意味はなかった。

安心してほしいのは、PHIにはSlayがいる。ReddickとSweatとCoxとMiltonとHargraveとDavisでプレッシャーもかけてくれるのでそんなに長い時間カバーしろとは言わない。
思う存分ボール奪ってきてください。

しかしBradberryを見れば見るほど2020までPHIにいたMichael Jacquetと被る。本当にタイプがよく似ている。Jacquetを2段階スムーズにした感じ。それゆえにNYGが最近Jacquetと契約した気持ちがよくわかる。
Jacquetと言われてもピンと来ない皆さま。この男です。

個人的にはちょうど1年前、2021にCB2のスターターになると思っていました。節穴すぎる。

残る穴

先発実績がほぼない選手しかいなかったという意味でチーム最大の穴だったのがCB2。ここにこんな選手が来たとなると残りの穴はGannonだけ。
Offense側がHurtsだけなのに対してDefense側はGannonだけ。

SもMathieuを獲りにいったことからもわかるようにやや不安はあるのだろうが、最近映像を見返した感想として、個人的にはEppsが去年時点でMcLeodより良かったと思っているのでEppsとHarrisの並びで問題ないと思えてきた。Eppsにはそれなりに先発経験もありますし。

とはいえこのポジションではJessie Bates(CIN)という大物Sが契約関係で揉めているという話もあるのでまだ予断は許さない。なにせ本人はPHIに興味を持っている形跡もある。

彼の場合はトレードにもなるし契約延長も必要だしで実現性がどこまであるのかは読めない。
Rosemanは最近のインタビューで、ロッカールームの文化的に、外から獲ってきたPHIでなんの実績も残していない選手にいきなり長期契約で大金を払うことには積極的でない様子だったので、Reddick・AJとやっちゃったこのオフに更にもう一例積み上げるかは不明。

だが、こんな大物がきたら興奮するに決まってる。いけRoseman。金ならどこからか湧く。文化とかヌルいこと言ってんじゃない。勝つことこそ文化。

言い過ぎた。


Bradberry獲得で少し悲しいのは、若手CBのうち、McPhearsonとかGowanより期待していたJobeもしくはGoodrichのUDFAコンビをお目にかかれないかもしれないこと。何とか確保する方法はないのだろうか。個人的にはJobe推しです。

しかしそんな悲しみなんてBradberryの映像を漁っていたら消えてしまう。
”プロ入りして最初の1Mを何に遣いましたか?”というGQのインタビュー映像によると、1Mのうち400Kが税金だったようだが、その額についても”警察とか先生とかコミュニティのみんなに回るのはありがたいね”と言えちゃうナイスガイの獲得には心躍る。

いやーいい補強。これはもうプレーオフで1勝以上できないと”失敗”と言っていい陣容になってしまいましたな。
SirianniとGannonとHurtsよ。気合い入れていけ。