待ちに待ったトレードのニュース。
しかし期待していた放出側の話ではなく、獲得側の話でした。
武器の補強
Trade
<Trade!!!!>(以下、差し出したもの)
PHI:2025ドラフト3巡指名権+7巡指名権×2 ⇔ WR Jahan Dotson+2025ドラフト5巡指名権:WAS
知っていたよ。
その名はちょろちょろ聞いた。
噂と言えるほどでもない現地ファンの願望としてWR3補強の対象者としてよく挙げられていた名ですから。
ファンの想像力では、FAのRenfrowとか、WRがだぶついていそうなHOUからNoah Brown(OC MooreとDAL時代に接点あり)かRobert WoodsかはたまたJohn Metchieかとか、そんな文脈で並べられていた。
このリストに挙げられていた根拠は"どうもWASでの処遇が怪しそうだ"という噂に基づくもの。
まさか本当だったとは。
ちなみに対価については格安の印象。
指名権がいろいろついているが、差し上げる3巡は、さきごろのドラフトにて4巡指名権と引き換えにMIAからいただいていたものが1つあるので、オリジナルとそっちとで高い順位の方。
ということでこのDotsonというまだ24歳の選手は、(契約年数が2年しかないというデメリットはあるが、)2024ドラフトにおけるPHIの4巡指名選手ということになります。
そして7巡指名権2つを5巡指名権に換えてもらったと。
なんだこれ。
どう考えても勝ちだろ。
ありがとうMIAさん。
すごいぞRoseman。
PHIの事情
Penn State出身者がPHIに帰ってくるというのはいつだって良い。
先輩であるSaquonのテンションも大変上がっている様子。
というのはさておき。
PHI側の事情について。
A.J.とDeVonta以下のWR3の不在は長年のデカい課題。
今シーズンは6巡ルーキーのJohnny Wilsonが台頭してきているが、そのWilsonにしてもトライアウトでの拾い物であるJohn Rossにしても脳震盪プロトコル入りしておりプレ2以降は練習をお休み中。
FAで獲得したParris Campbellも鼠径部のケガで長らくキャンプをお休みし、つい最近復帰したばかり。
キャンプを通して確固たるWR3を確立できた様子ではなかったが、タイプの異なるWilson(デカい)とかRoss(はやい)とかCovey(すばしっこい)を状況に応じて使いまわすのか、まあそれもいいか、と思っていたところだが、そこはRoseman。
確固たるWR3の必要性は認識していたということですかね。
非常にいいトレードだと思います。
Jahan Dotsonという選手
2022ドラフトにおける1巡16位指名のWR。
当時を振り返ると、DeVontaの相方という大ニーズがあったWRにおける豊作プロスペクトの一角としてよくチェックしていた記憶がある。
個人的にはGarrett Wilson(Ohio State)→Drake London(USC)→Jameson Williams(Alabama)→Chris Olave(Ohio State)→Treylon Burks(Arkansas)→George Pickens(Georgia)に次ぐWR7という見方をしていた。らしい。
そして本番。
13位でJordan Davisを指名したPHIはWentzが残していった18位で絶対にWRが欲しかったところ。
しかしまあ1巡を出して欲しかったLondon・Wilson・Olave・Williamsが順調に消えていき、その煽りを食った形でか見事に16位でDotsonも消えた。
え?Dotsonもいなくなったの?Burks行くの?うそでしょ?
と思っていたところに"A.J.獲得"というビッグニュースが飛び込んできた。
あの時の喜びは昨日のことのように思い出せる。
そんな喜びに満ちたドラフトにおける助演男優の1人が彼。
ということで当時の熱量がこもったエントリを置いておきます。
当時惚れていたのは、キャッチ力と、その水準以下のサイズからは想像がつかないほどの捕球半径の広さ。
そしてスピードも十分にある。
絶対1巡!とまで言えなかったのは、1列目についてもリリースできるほどの何か(クイックネス or パワー)が見えなかったことと、DeVontaと並べるにしてはタイプが似すぎていること、そしてその割にはDeVontaほどのスムーズさが見えなかったこと等による。
しかし4巡指名のWR3としてならこれほどいい武器もあるまい。
WASでも2023シーズンはWR3だったはずだが、まあそういう都合の悪い事実には目を瞑ることにする。
特徴は、ルートランの正確さとキャッチ力と4.43のスピード。
2023シーズンWeek4ではOTにもつれ込む同点TDレシーブを決められた記憶もあるし、Week8では大暴れされた記憶もある。
そしてびっくりした。あの試合(Week8)の108ydレシーブというのはキャリアハイだったらしい。
また騙されたんじゃなかろうな?
というのは言い過ぎにしても、昨シーズンの2試合からわかったのは、"Jobeごときに止められる存在ではない"、ということ。
"Jobe"というところは"3番手以下のCB"と読み替えていただいて結構。
Slotエリアに入ったときにはフィールド中央で実に厄介な働きをされる印象が強い。
やはり探していたのはここだったんでしょうね。
2023シーズンこそ苦戦して成績を落としたようだが、ルーキーシーズンの2022シーズンはAir yards/TargetでNFLのWRで全体5位(長いのイケる)、14.9 Yards/Catchは同9位(長いのイケる)、爆発的プレー(20yd以上のレシーブ?)も同9位(長いのイケる)と、なかなかの成績を残している。
カレッジ時代に輝いただけではない。プロでもしっかり通用した実績がある。
素質は間違いない。
あとは遣い手側とQBの問題。
スペースを与えてボールを持たせれば非常にいい働きをする選手だけに特に遣い手の責任は重要。
まあKellen Mooreだし大丈夫でしょう。
どうだろう。最初に挙げたRenfrow以下の数名と比較しても最も現時点で計算が立ち、天井も高そうな選択ではなかろうか。
興奮しないわけがなかろう。
これまで4回も対戦して間近で観察した人たちの目を信じることにしましょう。
WAS目線
このトレード最大の謎が、なぜWASさんはこのタイミングで2年前の1巡指名選手を結構お安く放出し(てくれ)たのか、というもの。
GM Adam Peters・HC Dan Quinnという新体制になったばかりのWAS。
既に2023シーズンのロスターにいた選手のうち半数以上の粛清が完了しているという大再建モード。
WRの核としては大エースTerry McLaurinがいる状況だが、探しているのはその次。
1巡指名という投資の大きさも踏まえてDotsonはもちろんWR2の筆頭候補だったはずだが、プレー強度とかメンタルみたいな部分においてPetersやQuinnが求める基準をクリアできなかった様子で、PHIからWAS入りしていたOlamide Zaccheausとかこのドラフトで3巡指名したLuke McCaffreyといった面々よりも評価が低くなっていたとのこと。
彼らはあれか、DET方式を目指しているわけか。
"the competitive spirit"が足りなかったらしいという記事も見た。
その他、"ドロップする"という噂も聞いた。
それこそカレッジ時代には彼の落とさなさに惚れたため信じたくはなかったが、一応調べてみたところ数字としてそれほど悪いものは残っていない。
PFF調べで7.9%→7.5%という数字であり、さすがにA.J.(2023シーズン:同3.6%)とかDeVonta(2023シーズン:同5.3%)という数字には及ばないがZaccheaus(2023シーズン:同8.3%)よりはいい数字を残しているのでこの線は消すことにする。
明確に素行の問題が出ているわけでもない。
要は"好みじゃなかった"ということだろうか。
プロとして生きていくのは実に難しいものですね。
首脳陣からすると、次のドラフトで好みの選手をいっぱい獲るために多めの指名権をいただくことで損切りを図った、ということなんでしょうな。
同地区に水準以上の選手を安く渡すことが正解なのかは全くわからないが。
ということで、結論としては"わからない"ということでした。
いろいろ記事を漁ってもこれに関する的確な回答を与えてくれるものはない。
もしかしたらとんでもない爆弾を抱えているかもしれないが、Saquonという大先輩に加えて当時のチームメイトでもあるBrandon SmithやP.J. Mustipherもいる。
(後者2名は開幕ロスターにいない気しかしないが、)そういうものは彼らに押さえこんでもらいましょう。
ペンシルベニア生まれでこそないが、4歳ぐらいからPhiladelphia近郊で育っている。
知らんがたぶんその血の色はKelly Greenであろう。
いまこそキャリアを立て直すのだ。
がんばれDotson。すっごい応援している。